『発明家に学ぶ発想戦略』エヴァン・I・シュワルツ(著)

最近はこの手のビジネス系の意識高そうな本はとんと読まなくなりました。何のきっかけでいつ買ったのかもわからないのですが、いつの間にやら購入して積読状態だったので、何気なく読み始めたのですが、なかなか興味深い本でした。

本書の根幹のテーマは、著名な多くの発明家のエピソードなどから、その発想力の要諦を探り出そうということです。現在も活躍している多くの発明家にインタビューした内容がレポートされており、大変興味深いです。

各章のタイトルは以下のようになっています。大体タイトルだけで内容はある程度予想できる感じになっていると思います。

  • 第一章『可能性を創出する』
  • 第二章『問題をつきとめる』
  • 第三章『パターンを認識する』
  • 第四章『チャンスを引き寄せる』
  • 第五章『境界を横断する』
  • 第六章『障害を見極める』
  • 第七章『アナロジーを応用する』
  • 第八章『完成図を視覚化する』
  • 第九章『失敗を糧にする』
  • 第十章『アイデアを積み重ねる』
  • 第十一章『システムとして考える』

何人かの大発明家が各章で代わるがわる触れられています。多く取り上げられているのは、トーマス・エジソン、グラハム・ベル、ウディ・ノリス、スティーブ・ウォズニアック、ライト兄弟などなど。過去の偉大な発明家であって誰もが知っているような人から、大きな発明をし実績を積み上げつつある現代の発明家たちです。

各章で言いたいことはちょくちょく聞くようなことなので、驚くような目新しい説があるわけではありません。課題があって、解決するニーズがあって、その機会が与えられたとき、一見関係ない分野の応用や転用などを駆使して、失敗しても挫けず、改良を広く深く重ねることでイノベーションが生まれるというわけです。

本書の成果は、発明に必要な思考回路を体系的に整理したところにあるのだと思います。米国の事例が中心になっているのがさみしいところではありました。単純に著者が米国メディアの出身だからかもしれません。

最近は愛国精神丸出しの書籍がブームらしいと聞きます。文明開化から高度経済成長期くらいの日本の著名な発明家(豊田佐吉とか安藤百福とか)を集めてこういう書籍にまとめたら注目されるのではないだろうか、などと考えました。いかがでしょうか。

特に意識高い系の若い人に読んでいただいて、日本発のイノベーションを生み出す糧としていただきたいと思いました。

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