カテゴリー別アーカイブ: 映画評

『マディソン郡の橋』クリント・イーストウッド(監督、出演)、メリル・ストリープ(出演)

以前コメント欄で教えていただいた『マディソン郡の橋』を観ました。

クリント・イーストウッドが製作・監督・主演を務め、メリル・ストリープがアカデミー主演女優賞にノミネートされました。

ロバート・キンケイド(クリント・イーストウッド)はナショナルジオグラフィック誌のカメラマンです。珍しい屋根付橋であるローズマンブリッジを撮影してにアイオワ州までやってきて、農場の主婦フランチェスカ・ジョンソン(メリル・ストリープ)に偶然出会います。

ちょうど家族が一週間祭りで留守にしており家に一人だったフランチェスカはイケメンのロバートに魅かれていきます。二人で食事をしながら語り合う中で、二人は恋に落ち、結ばれるのでした。

しかしアイオワの田舎町では二人のような不適切な関係はすぐに知れ渡るし、それは家族の破滅を意味します。なお主人と子供たちを愛しているフランチェスカはロバートとの別れを決断します。

クライマックスは夕立の降る街中で、旦那と買い物に来たフランチェスカがロバートと偶然再会する場面。互いに存在を認識しながら近付くことを許されない関係が泣かせます。

二人はその後再会することもなく、フランチェスカは旦那だけを愛し、ロバートは独身のまま生涯を終えました。しかし、二人とも四日間の恋を忘れることはなく、共に亡くなった後は一緒になることを望んでいたのでした。

率直な感想を申し上げますと、私にはよくわかりませんでした。たぶんそれは、私には配偶者も子供もいないからだろうと思います。

この作品では同じ町に住んで不倫で村八分になっている女性が描かれています。その存在がフランチェスカが最後の一歩を踏み出すことを自省する一因となっていて、おそらくより広い観衆を惹きつけるための工夫の跡だと思います。「子供が手を離れようとしている年代の田舎に住む女性」では如何にもターゲットが狭すぎます。

すでに人生を共に歩んできたパートナーがあり、夫も子供も愛しているけれど、それでも抗い難い恋に落ちる女性の心に寄り添うには、私はあまりにも経験値が不足しているように感じました。

この作品の本当の意味で理解できるような人生が送れることを強く願っています。

しかし、クリント・イーストウッドはかっこいいですね。彼は1930年生まれだそうなので、この作品の時点で65歳くらいのはず。大してドラマチックな展開もなく、気の利いたセリフもなく、眼差しだけでメリル・ストリープを落としながらも納得感があるというのは、ちょっと尋常ではないです。

何と言うか、一定の層には響く名作であるのは認めざるを得ないけれど、自分の境遇とはあまりにもかけ離れていて、高校生が背伸びしてラブロマンスを観ているような気分でした。

早く大人になりたいです。


『きみに読む物語』ニック・カサヴェテス(監督)
『私の頭の中の消しゴム』チョン・ウソン, ソン・イェジン(出演), イ・ジェハン(監督)
映画『ベティ・ブルー インテグラル』
映画『猟奇的な彼女』チョン・ジヒョン(出演), クァク・ジェヨン(監督)

『新・のび太と鉄人兵団』寺本幸代(監督)

先日気まぐれに『のび太と恐竜2006』を観て以来、映画ドラえもんがマイブーム(死後)になっています。

今回は2011年公開の『新・のび太と鉄人兵団』を観ました。

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旧作は1986年公開の第7作で興行収入12億5000万円。今作は24億6000万円と倍増していますが、前年の『のび太の人魚大海戦』は31億6000万円、翌年の『のび太と奇跡の島』は36億2000万円であることを考えると、あまり興行的に成功した作品ではないと言えるかもしれません。

以下、ネタばれ満載で感想など。思い出しながら書いているんで間違ってるところもあるかもしれませんので、あしからず。

ひょんなことから不思議な青いボールを手に入れたのび太の下に巨大ロボットの部品が集まって来ます。ドラえもんの「おざしき釣り堀」と「逆世界入りこみオイル」で作った鏡の世界で巨大ロボットを完成させます。青いボールは巨大ロボットの「頭脳」だったのです。

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ドラえもんの命名でザンダクロスと名付けられた巨大ロボットは、地球制服を企むメカトピア星から送り込まれた斥候ロボットでした。

密かにメカトピア星から地球に潜入していた鉄人兵団は鏡の世界に前線基地を築いていました。鉄人兵団に襲われるのび太たち。

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のび太たちはザンダクロスに組み込まれなかった頭脳部品を発見し、鉄人兵団に関する情報を入手しようと対話を求めますが、お話になりません。少しでも歩み寄るために「おはなしボックス」でひよこの姿に変身させ、ピッポと名付けました。

一方、ザンダクロスと共に地球に潜入し鉄人兵団を導く使命を負った少女型サイボーグ・リルルは、ザンダクロスが引き起こした爆発で半壊となっていました。

偶然に鏡の世界に入り込んだしずかちゃんは、これまた偶然に瀕死のリルルを発見。鏡の世界の自宅に連れ帰り介抱することになります。

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鉄人兵団とのび太たちとの小競り合いは続き、リルルとピッポは自らの使命とのび太たちとの友情の間で揺れ動きます。

のび太たちは鉄人兵団を鏡の世界に誘いこみ迎え撃つことを決心します。のび太たちと行動を共にし心を開いていたピッポはのび太と戦いたくないと共に泣きます。

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鏡の世界で鉄人兵団と戦うのび太たち。しかし鉄人兵団の兵力は圧倒的で次第に押され始めます。

一方しずかちゃんはメカトピアで最初のロボットを作った博士の下へタイムマシンで向かいます。

しずかちゃんの話を聞いた博士はロボットに「温かい心」を組み込むことで事態が改善できると判断し作業を開始します。しかし、高齢の博士は作業途中で倒れてしまいます。

作業を受け継いだリルルはロボットに温かい心を組み込むことに成功します。しかし、過去を変えたことでリルルは存在しなかったことになってしまい、消滅してしまいます。

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地球の危機を救ったのび太たちですが、リルルとピッポを失った喪失感から無気力となっていました。しかし、教室の窓の外を姿かたちの変わったリルルとピッポと思しきロボットたちが通り過ぎるところに遭遇。元気を取り戻すのでした。

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めでたし、めでたし。

ストーリー展開もあまり難しくなく、展開としてはベタな面も否めませんが、1986年当時の脚本と考えると、むしろその完成度に感心します。

男の子にはロボット物は受け入れられやすいだろうし、しずかちゃんも活躍するので女の子受けもよさそうです。

独り者の私が言うのもなんですが、安心して子どもに観させられる良作だと思いました。

興行収入が振るわなかったのは、親世代が昔観たから気が進まなかった面とかもあるんでしょうか。全般的にリメイク作は伸びない傾向はあるようです。

この映画、主題歌をなんか聞いたことあったなと思ったら、Bump of Chickenの『友達の唄』というそうです。CDとか買わないんでよく知らなかったんですが、良い曲ですね。


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『のび太の恐竜2006』渡辺歩(監督)

TVドラマ『都市伝説の女』長澤まさみ、溝端淳平(出演)

長澤まさみ主演の「都市伝説の女」を観ました。2012年第2クールに放送されたPart1の方です。

なんとなく2013年のドラマはどんなものがあったのかを調査していたときに第4クールにPart2が放送されてたのを見つけ、シリーズ化されているくらいなら面白かろうという判断でPart1の方を観てみた次第です。

率直に言って、なかなか面白かったです。個人的に長澤まさみが好きというのもありますが。

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長澤まさみ演じる音無月子は都市伝説オタクの刑事。都市伝説が本当に存在することを証明するために刑事になり、事件が起きればその原因が都市伝説であることを信じて必死の捜査を繰り広げます。しかし、持ち前の観察力から最終的には都市伝説ではないことを突き止めてしまい、空しくも事件は次々に解決してしまいます。

一話もしくは二話で一つの事件が解決するオムニバス形式で、事件はすべて都市伝説に因んだものです。手の込んだトリックが多いので全体的な雰囲気としては『トリック』とか『ケイゾク』とかに近いものを感じました。

私は都市伝説の類にそれほど明るいわけではありませんが、取り上げられる都市伝説はだいたい聞いたことがあるものでした。将門の首塚、ホープダイヤモンドの呪い、ドッペルゲンガー、高尾山の天狗、国会議事堂のダンスホール、東京タワーの照明、座敷童、狼男、徳川埋蔵金。後半の方は都市伝説と呼んでいいものかどうか判断に苦しむところではあります。

レギュラー陣は、鑑識係で相棒の溝端淳平、上司の竹中直人、副総監の伊武雅刀、謎の老人に宇津井健などが固めます。同僚たちも著名な役者さんではないですが個性的な役柄を好演していました。結構味のある配役のようだったのですが、全般的に長澤まさみ全力推しの演出になっていて、活かしきれてなかったようには感じました。

特に宇津井健の位置付けがものすごく微妙で、謎な感じでちょくちょく顔を出して重要キャラのように見せながら最終回を待たずに正体が明かされるなど、かなり行き当たりばったりなシナリオのように感じました。

しばらく長澤まさみが出演するドラマを観ることがなかったのですが、十代の頃とは一皮剥けた感はあります。やはり映画『モテキ』の影響なのでしょうか、エロスを前面に押し出していてずいぶん吹っ切れた演技でした。個人的には嫌いじゃないです。

個人的に、こういう軽いノリでうまいトリックを見せるドラマは割と好きなので、シリーズ化してうまく育てていってもらえたらいいんじゃないかと思いました。

いずれPart2も観てみたいと思います。

『のび太の恐竜2006』渡辺歩(監督)

子持ちの友人と飲んでいたときに、子どもと映画ドラえもんを観に行ったらすごい進化しててビックリしたという話を聞きました。せっかくだからと思い立って一本借りて観てみました。

選んだのは『のび太の恐竜2006』。映画ドラえもんのデビュー作『のび太の恐竜』のリメイクです。

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考えてみると原作の漫画は読んだ記憶があるのですが、旧作の映画は観たことありませんでした。なので比較っぽく書くところは昔のテレビアニメの印象との比較と思ってください。

で、作画や映像の技術はやはりずいぶんと変わっています。構図の奥行きもあるし、細部も描きこまれていて、リアリティが高くなっています。そのせいか全般的に空間が狭く感じられて窮屈な感じもしました。特に、のび太の部屋は6畳くらいあるイメージだったのですが、この映画では4畳半くらいに見えます。

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一番に感じたのは、声優が全面的に変更になった違和感です。ドラえもんは大山のぶ代さんから水田わさびさんに変わっていて、声質は割りと近いのにまったく印象が違います。なんと言うか、以前のドラえもんはのび太の保護者的な面が強くて、のび太たちよりちょっと年上くらいのイメージだったのですが、この映画ではのび太の友だちとしての面が強く出ていて対等なイメージを受けました。なんと言うか、ちょっと頼り甲斐がない感じです。

ストーリーについてはちょっと展開が早い割りに恐竜の描写とか長い尺を取っていてチグハグな印象を受けました。子どもたちは話の流れが理解できるのだろうかと思う反面、逆に子どもたちを飽きさせない演出なのかも、とも思います。この辺は旧作と比較したり最近の子ども向け映画の傾向と見比べないとよくわからないのかも知れません。

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Amazonのレビューでは批判的なレビューが多いようでした。やはり旧作のイメージの強い保護者が書くので、どうしても懐古主義になりがちなのでしょう。もはや昔のドラえもんと今のドラえもんは別の作品だという認識を持つことが重要なのではないでしょうか。

今回、映画ドラえもんシリーズのことを調べてみたら、1980年から2005年を除き毎年3月に公開されていて、近年では確実に30億円の興行収入、300万人の動員を確保しているドル箱になっているようです。

ジブリが7年かけて100億円の興行収入を上げる間に、毎年30億円で200億円を上げているわけです。そりゃリメイクでもなんでも毎年公開すること自体に意味があるんだろうなぁと感じたのでした。

ちょっと雰囲気を知るために一本だけのつもりだったのですが、他の作品や旧作も観たくなってきました。こうやって、子どもの頃に観た世代が大人になって改めて観ることで根強い需要が確保できている面もあるのでしょうね。

TVドラマ『太陽の罠』の感想

2013年12月に放送されたNHKの土曜ドラマ『太陽の罠』を観たので感想など。ちなみにネタバレ満載ですのでご注意ください。

最近はめったにTVドラマをリアルタイムで観るともなくなったのですが、同業者の間で話題のドラマだったので録画して通しで観ました。と言っても全4回だからあっという間でした。

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NHK土曜ドラマ 太陽の罠
より

名古屋の電機メーカー、メイオウ電機が米国ゼスターリサーチから太陽光発電パネルの特許権侵害で警告を受けます。メイオウ電機の開発者で最近知的財産部に異動になった長谷川眞二は、産業スパイの疑いをかけられ、さらに開発部長の殺害未遂容疑などで追われる身となります。長谷川の疑いは晴れますが、自身のパソコンから営業秘密が漏洩していたことが発覚し、新婚の妻、葵に疑いを抱きます。結局、葵はパテントトロールの澤田と繋がっていて、メイオウ電機をハメるために長谷川に近づいたことが判明。ところが、葵は澤田を裏切り営業秘密の不正入手を告発しようとし、それを事前に察知したゼスターリサーチに消されてしまいます。最終的には葵の死を知った澤田が落ちて和解が成立。メイオウ電機は窮地を脱したのでした。めでたしめでたし。

パテントトロールという存在がテレビドラマで取り上げられることはそうそうないので、特許業界では今冬最注目のドラマでした。特に年配の方たちがfacebook界隈で歓喜していたのが印象深かったです。

実際に小道具として出てくる特許公報とかもそれっぽく作られていたし、訴訟になってディスカバリ(証拠開示手続)が入る場面など、知的財産関連の描写はとてもよくできていて大変感心しました。特許関連の描写が立派な分だけ、荒唐無稽なサスペンス要素がバランスを失していて、うーむ、とうならずにはいられませんでした。

どうやら特許考証に小説『パテントトロール』の著者、石橋秀喜さんが入られていたようです。多くの企業で知的財産部を経験された専門家のようですから、納得です。ちなみに『パテントトロール』も電機会社がパテントトロールに訴えられる話だった気がします。そして、終盤に物語を台無しにするどんでん返しが入るのも、このドラマと近いものがありました。

長谷川役の西島隆弘が初主演というのが話題だった模様。AAAというグループのメインボーカルだそうですが、私はさっぱり知らなかったので特に感慨はありません。ただ、劇中の長谷川はオタク気質な開発者という雰囲気だったので、ピアスの穴がとても浮いていたのだけは間違いありません。ああいうのはもうちょっと気を使っていただきたいところです。

周りを固めるのは、後任の開発部長に尾美としのり、殺されかける開発部長に伊武雅刀、パテントトロールに塚本高史、県警刑事に吉田栄作、米国弁護士に石田ひかり、などなど芸達者なキャスト陣で安心して観ることができました。

視聴率がどんなもんだったのかは知りませんけれど、特殊な世界と思われがちな特許関連の業界が多少なりとも世間一般で認知されるようになると、業界で飯を食ってる人たちもちょっとは肩身が広くなるかもしれないと思いました。


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『情報処理2013年03月号別刷「《特集》IT・ソフトウェア特許の新潮流 ~活用・防御から標準化まで~」』

『ゼロ・グラビティ』サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー(出演)

話題の映画『ゼロ・グラビティ』を観てきました。いやぁ、これはすごい。

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スペースシャトルの宇宙飛行士が、ハッブル宇宙望遠鏡の調整ミッション中に、ロシアが起こした人工衛星の爆破による宇宙デブリの直撃を受けて、宇宙空間に取り残され、生還するために右往左往するパニック映画です。

主な登場人物はサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーの2人だけ。後半はサンドラ・ブロック1人という思い切った脚本です。ストーリーとしても深い話はなく、不慮の事故で宇宙空間に取り残された宇宙飛行士が生還するために必死に生きようとする様を描くのみです。

敢えて言うならば、当初は素人同然で投げやりな感じだったサンドラ・ブロックが徐々に生き抜くために前向きに成長していく流れを描いていると言えるかもしれません。

この映画にとってストーリーは大して重要ではありません。全編90分間にわたって繰り広げられる無重力空間の迫力、これがすべてです。

どうやって制作したのかはわかりませんけれど、スペースシャトルや宇宙ステーションがデブリに破壊されるシーン、折れたアームに宇宙飛行士が振り回されるシーン、ソユーズや天宮に乗り移るシーン、そしてサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーが引き離されるシーン。すべてが圧巻の映像で、一瞬たりとも目が離せません。

3D映画は『アバター』以来、雨後の筍のように乱発されましたけれど、しばらく3Dならではという作品は出てこなかったように思えます。この映画は久しぶりに出た3D映画の傑作だと思いました。

私は、事前の評判を見聞きして、今回初めてIMAX 3Dで鑑賞するために豊島園のユナイテッドシネマに足を運びました。料金は2,200円(ウィンブルシートにはさらに200円)とちょっとお高めですが、その価値は十分にあります。3D映画を観ること自体が割りと久しぶりなのですが、3Dであることを忘れるくらいに自然な映像で感激しました。

この映画を観るのなら、可能な限り視聴環境には徹底的にこだわるとよいと思います。間違っても2Dでいいや、とか、DVDで観ればいいや、とか考えるのは止めた方がよいでしょう。たぶんこの映画は3Dで観なければ価値がないです。2Dだったら観ない方がマシだと思いますよ。

ちょっと残念だったところもあります。

まずは、いくつかの設定が私の認識では無理があったことです。例えば、宇宙空間にあの勢いで放り出されたサンドラ・ブロックをジョージ・クルーニーが宇宙服のジェット噴射だけで追いつくところとか、ISSが宇宙デブリに襲われたときにソユーズと宇宙空間にいたサンドラ・ブロックが無事で済んだところとか、神舟が帰還した後に海に沈むところとか。あと、大したことでもないですが、天宮の中に卓球ラケットが浮いてたり変な仏像が飾られていたり、中国に対する間違った認識も違和感がありました。

一番の違和感は、この映画、原題は『GRAVITY』らしいのですが、なぜ邦題は『ゼロ・グラビティ』にしちゃったんでしょうか。ラストシーンを考えたら、「ゼロ」は余計だと思うんですよね。

いやぁこの映画、まじでいいです。絶対に劇場で鑑賞することをおススメします。今年の長いお正月休みにどうしたらいいかわからない方々には、超おススメです。

TVドラマ『やまとなでしこ』松嶋菜々子、堤真一(出演)

松嶋菜々子と堤真一のラブコメ『やまとなでしこ』を観ました。2000年の月9で、平均視聴率26.4%、最高視聴率は34.2%だそうです。

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▲最終話より

貧乏な家で育ち金だけを愛する客室添乗員の女と、MITに留学するほどの実力がありながら父の急死で実家の魚屋を継いだ男が、出会って、離れたり魅かれたりを繰り返して、最後はゴールインするという、ザ・トレンディードラマといったお話でした。

ちなみに脚本は中園ミホさん。「ハケンの品格」などが有名な脚本家さんです。

何と言っても松嶋菜々子の迫真の演技が素晴らしい。合コン仲間の女性集団の中の顔、合コンで金持ちの男を落とすときの顔、婚約者の大病院の御曹司の前の顔、魚屋の前の顔、実父の前の顔、いろんな側面を持つ複雑な女性の役を見事に演じきっています。

私は松嶋菜々子というと「GTO」か「利家とまつ」くらいしか記憶になくて、旦那の反町隆と同じでワンパターンで押していくイメージしかなかったのですが、すごい演技派だったんだと認識しました。

脇を固めるキャストも手堅い印象でした。堤真一、西村雅彦、筧俊夫、東幹久、矢田亜希子、須藤理沙、森口瑶子、市毛良枝、などなど。あぁ、あの頃のドラマはこんな感じだったなぁ、としみじみと感じましたし、とても安心して観られました。

筧俊夫と東幹久だけはなんとなく時代を感じたんですが、あれはなんでしょうね。最近あまり見掛けなくなったからでしょうか。キャラがバブルチックだからでしょうか。

結婚及び離婚を経る前の押尾学と矢田亜希子が共演しているのもいい味出してます。ドラマ内ではそんなに絡まないですけどね。

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▲第1話より

最後にクランクアップ時の特典映像が収録されていたんですが、キャストやスタッフがとても仲良さそうなのが伝わって来ました。コメディみたいなノリが決め手のドラマだと収録外の場の雰囲気ってのも重要になってくるのでしょうか。

あまり重くならずに気楽に観れるドラマはいいですね。


ドラマの感想など

TVドラマ『ROOKIES (ルーキーズ)』佐藤隆太、 市原隼人など(出演)
TVドラマ『ギルティ 悪魔と契約した女』菅野美穂, 玉木宏(出演)
TVドラマ『バージンロード』和久井映見、反町隆史、武田鉄也(出演)

『バタフライ・エフェクト』アシュトン・カッチャー(主演)

ラストが衝撃的な映画○○選!とかで必ず出てくる定番の映画『バタフライ・エフェクト』を観ました。

2004年米国公開、日本公開は2005年。興行収入は全世界$96,060,858.(1ドル102円換算で、9,798,207,516円)だそうです。

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過去に戻って現在、未来の出来事を変えることができる青年を描いたSFスリラー。『ジャスト・マリッジ』のアシュトン・カッチャー主演作。共演は『ラットレース』のエイミー・スマート。ノンストップで繰り広げられるストーリー展開と驚愕のラストは必見。

(バタフライ・エフェクト  解説・あらすじ- Yahoo!映画より)

タイトルの「バタフライ・エフェクト」とは、蝶のはばたきが地球の裏側では竜巻を引き起こすというカオス理論を象徴する言葉だそうです。

この映画はいわゆるタイムリープ物で、バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいな感じで、現在の不都合を修正するために過去に戻って選択を正していく展開です。つまり、このタイトルは、過去の出来事をちょっとだけ変更することが、将来の世界に大きな影響を与えてしまうことを表しているわけです。

この映画の優れている点は、ある問題を正せば異なる問題が出てきて、またその問題を正すとさらに異なる問題が出てきて、どちらかというとより酷い状況に陥っていくスリリングな展開となっていることです。また、その展開がとても緻密に練り込まれていて、過去の伏線が変更後の将来の世界を大きく変更する要因になっていて、一瞬たりとも見逃せません。

主人公のエヴァンは幼馴染のケイリーを幸せにするために偶然知った自分の能力を利用して過去に戻り間違いを正していきます。ところが、却ってケイリーが不幸になってしまったり、ケイリーは救われても自分が不幸になってしまったりを繰り返した結果、その能力を発揮するために必要なツール(過去の日記)を失ってしまいます。最後のチャンスとしてホームビデオによって過去に戻ったエヴァンは、2人が救われるためにある決断をします。

この最後の決断が大事なところみたいなので伏せておきます。まぁ10年近く前の映画なんでちょっと探せばネタバレレビューはゴロゴロ出てきますけどね。

いろんなところで「驚愕のラスト」って言われているんですけれど、私はそこまで驚愕しなかったんですよね。「あー、そう来るか」くらいには思いましたけど、想定の範囲内でした。

もしかしたら私が重要なところを見失っていて理解できてない可能性もあります。なにしろ2日に分けて酒飲みながら視聴したもので。

ちょっと評価が独り歩きしている感がなくもないですが、あまり先入観を持たずに観ればとても面白い映画だと思います。おススメ。

『きみに読む物語』ニック・カサヴェテス(監督)

映画『きみに読む物語』を観ました。2005年公開(日本)で、全世界興行収入$115,603,229(約112億円※1ドル97円、ソースはWikipedia)。泣けるラブストーリーの鉄板です。

噂にたがわぬ良い映画でした。秋の夜長に中年独身男子が一人の部屋で観るには最適のチョイスでした。

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材木置き場で働く底辺労働者のノアと夏休みの間だけ別荘に家族でやってきた金持ちのアリーが出会い、恋に落ち、引き離され、再会し、再び引き寄せられていく物語です。その物語を年老いたノアが認知症に犯され記憶を失ったアリーに語り聞かせる形で進行します。

この物語の主題をどこに置くかはなかなかに難しいです。身分の違うノアとアリーが格差を超えて数々の障壁を乗り越えて一緒になる幸福なラブストーリーと捉えることもできるし、そんな大恋愛の二人の仲をを切り裂く老いと病気の無情さとも捉えられるし、はたまた最後の困難も乗り越えて共に現世を去る二人の幸福な人生と捉えることもできるでしょう。

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自分の身に置き換えてみれば、ひと夏の恋に落ちるほど若くもないし、過去を振り返ってもそんな激しい恋に落ちたこともないし、はたまた病気の時も健やかなる時も共に過ごし共に死を迎える伴侶がいる将来を思い描ける状況でもありません。端的に言って、感情移入できる対象が誰一人として現れませんでした。

きっと5年前までの自分ならこんな映画を観る気も起きなかったし、仮に観たとしても陳腐なストーリーの安っぽい映画と評価していたかもしれません。それでも、この歳になって観てみたら、こんなにも心動かされたのはなぜかと考えてみれば、それはきっと、本格的に婚活などをしてみてそれなりの数の女性と話をした中で、自分にはこのような他人に語り聞かせるようなロマンチックな出会いは今後も訪れることはあり得ないし、きっとこのような幸せな死に方はできないだろうことが現実として理解できてきたからだと思います。

私は昔からラブストーリーの映画とか全く観る気がしませんでした。他の人たちが何を求めてそんな映画を観るのか理解できませんでした。最近になって、現実にそんなことはあり得ないことがわかっているからこそ、みんな映画の中だけでも体験したいのだな、ということがわかるようになってきた気がします。

月並みな言い方ですが、言われればわかりきっているようなことでも腹の底から理解できるようになるのって、歳をとってこそのことなんだろうと思います。ダラダラと無為に人生を過ごしてきたけれど、それも一概に悪いことではなかったのかもしれないな、などと思うようにもなってきました。

そんなわけで、恋に燃える若者たちにも、人生の終わりを意識し出した壮年層にも、おひとりさまの最期を覚悟し出した中年層にも、みんな一度は観ておいてよい映画だと思いましたです。


泣ける映画と言えば

『私の頭の中の消しゴム』チョン・ウソン, ソン・イェジン(出演), イ・ジェハン(監督)
『アイアムサム』ショーン・ペン, ミシェル・ファイファー, ダコタ・ファニング(出演)

『私の頭の中の消しゴム』チョン・ウソン, ソン・イェジン(出演), イ・ジェハン(監督)

ふと思い立って『私の頭の中の消しゴム』を観ました。一時のブームは去ったとはいえ韓流ドラマはまだ放送しているのに、韓流映画って最近めっきり聞かなくなりましたね。

Wikipediaによると、2005年国内公開のこの映画が韓流映画の興行収入1位(30億円)だそうです。韓流映画の興行収入ランキングもトップ10は2005年以前に公開されたものだけ。ものすごい流行ってた記憶があるんですが一時的なブームだったのがわかります。

さてこの映画、超絶金持ちの美女と建築作業員のイケメンとの純愛物語です。超絶金持ちの美女は職場の上司と不倫の末駆け落ちしようとして捨てられ、傷心のところで父親の建築するビルで現場監督をしていたイケメンと出会います。あっという間にできちゃった二人は親の反対を振り切り結婚します。二人は幸せに暮らしていたのだけれど、美女は若年性アルツハイマーであることが判明。病状が悪化するに従って旦那に迷惑をかけるのが忍びない美女は家を出て海辺の病院で療養生活に入ります。最後には旦那に居場所が見つかって再会を果たし、二人が愛を確認し合ったところで終幕となりました。

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全体のストーリー自体は比較的陳腐な展開であるし、織り込まれるエピソードもちぐはぐな感は否めませんでした。語弊を恐れずに言うならば、映画としての完成度はあまり高くないように思います。

それでも画面に引き込まれ目頭が熱くなることを押さえられなかったのは、ひとえに主人公の二人が超絶美女と超絶イケメンだからに他なりません。もう画面を見ているだけでなんかいいなぁと思っちゃう。逆に美男美女を全面推しするために単純なストーリーにしているようにすら思えます。何にしても目の保養にはなりました。

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よくよく調べてみると、日本のテレビドラマをリメイクしたものだったようです。2001年に日テレ系で放送された『Pure Soul~君が僕を忘れても~』です。永作博美と緒方直人が主演です。何だか宙に浮いたエピソードが多いなぁと感じたのは、無理やり2時間に詰め込んだからかもしれません。

何度も観返したいほどのものではないですが、一度は観ておいて損はしないという感想を持ちました。良作だと思います。


観たことある韓流映画

映画『猟奇的な彼女』チョン・ジヒョン(出演), クァク・ジェヨン(監督)