ずいぶんと盛り上がっていたようなので覗いてみたんですが、非常にモヤモヤしたので書いてみようと思いました。
乙武洋匡さん、銀座の「TRATTORIA GANZO」に「車椅子だから」と入店拒否される(追記あり) – Togetter
『五体不満足』で有名な乙武洋匡さんが「車椅子で銀座のイタリア料理店に予約して行ったら入店拒否された上に罵声を浴びせられた」と店名を晒してtweetしたことで店側が大炎上したという事件です。
どうも乙武さん側は車椅子であることを店側に告げていなかったようで、店も雑居ビルの2階でありエレベータもなく、また土曜の夜で混雑している上、店長とバイトの2人で回していたので対応する余裕がなかった、ということのようです。
店長の方も普段からあまりお行儀の良い方ではなかったようで、態度の悪い客が来たときなどにtwitterで愚痴ったりもしていたようです。
個人的には、こういう店主の店には行きたくないな、と思いますが、乙武さんも「2階まで担いで上げろ」と要求したようで、あまりにも傲慢過ぎると思いました。端的に言って、どっちもどっちでしょう。騒ぐほどのことではない。
気になったのは周りの人たちの反応で、車椅子の人に対する差別で、外国ではあり得ないことだ、みたいな論調もあってビックリします。
「車椅子」って簡単に言うけど、彼のは特殊な電動車椅子です。彼のブログで写真が掲載されていましたが、折りたたみできるものでもなさそうだし、人手で持ち上げるのも難しそう。
お店の方が謝罪文で「そして私の常識の甘さだったんですが車椅子の方は事前に連絡をしていただけると思っていた事」と述べています。
参考:(cache) Trattoria Ganzo – 乙武様のご来店お断りについて。
私も周囲に車椅子の方がいないので車椅子生活の方がどういう物の考え方をするのか把握していませんが、それくらいが一般人の感覚だろうと感じました。もちろん私のような通行人と客として迎え入れる飲食店のリテラシーを比較してもしかたないのですが。
しかし、店のHPにも店の状況を書いて載せていたようなので、そもそも車椅子の人が来店する事態はあまり多くなかったのかもしれません。
自分が普段飲食店を利用する限りでは、全ての店に車椅子の方に対応できる設備を求めるなんて無茶な話だと思います。何も言わずに突然行って、断られたから差別だ、って騒ぎ立てるのはいかがなものかと感じました。
中には予約で「乙武」って聞いたらわかるだろ、みたいな言い方してる人もいました。確かに珍しい名字ではあるけれど、一応全国に400人ほどいるようなんですね。「乙武」で予約が入ったら気を利かせて準備してろ、って言うのはあまりにも無理筋です。
そもそも連れもいたみたいだから「乙武」で予約したかもわかんないですよね。
一番疑問に思うのは、その連れの人がなにしてたんだって話なんです。どういう関係かわかりませんが健常者であれば両方の事情を理解できる立場にあるわけだし、連れの人がもっと気を遣わないといけないんじゃないの?と感じました。というかむしろ連れの人がろくに確認もしないで予約したんじゃないの?
さて、多くの著名人などがこの件で言いたいことを言ってるわけですが。
乙武が銀座のあるお店で食事できなかった件。イギリスだと障碍者差別で訴訟。店負け確定。賠償金が大変だぞ。差別に厳しいから。店の人が乙武さん手伝うのは、凄い手間ではないですよね。それにイギリスならお客さん達もまかしときな〜と助けてくれますけどね。いう前に。普通の光景。
— めいろまさん (@May_Roma) 2013年5月18日
乙武さんが常に車椅子であることも告げずにどこにでも行っていて、今まで一度もトラブルになったことがなかったのだとしたら、それこそ諸外国に劣らない素晴らしい社会だと思いました。
あと、一番自分の感想に近かったのは、これでした。
一つ確実に言えるのは、彼がああいうツイートをしたからたいって、差別が減ったり、嫌な思いをする人が減ったりするわけではないということ。逆に、接客業は車椅子の人に対する恐怖心だけが増大する。結果、腫れ物に触るような扱いに。それは差別が別の形で現れただけ。
— 岩崎夏海さん (@huckleberry2008) 2013年5月18日
彼はむしろ車椅子の人をこれまで以上に生きづらくしている可能性すらある。
— 岩崎夏海さん (@huckleberry2008) 2013年5月18日
たぶんマンパワーに余裕のないお店はこれまで以上に気を付けてできるだけ車椅子の人を避けるようになるでしょうね。何があるかわからないんだから、あえてリスクを背負う必要はないです。結果として車椅子の人が食事をする選択肢を狭めることになるでしょう。
さすがベストセラー作家はうまく言語化してくれるなぁ。ちょっと見直しました。
うーん とてもデリケートなところですが、どっちもどっち、たしかにそうだと思います 腫れ物にさわるような、で思い出しましたが、モンスターとかクレーマーとか完全に理不尽な連中がいるおかげか、仕事の電話応対とか、ケイタイショップとかの対応とか、くそ丁寧すぎてもう何言ってるかわかんなくなることがあって、世の中、いかに悪者になる、拒否される、怒られる、を避けたいと思っているのがわかります かといってここでバイトとかがでてきて、ここぞとばかりに善人ぶって入店のお手伝いなんかして感謝されてドヤ顔、ってのもムカつくけど 社会人として、仕事してればどうやっても無理なものは無理、な状況もあるわけで その口のきき方に問題あったとしても設備てきに人員てきに無理なら断る、はいたしかたないのかと。。。海外なら、といちいち外国をものさしにするのは好きじゃないのだけど、例えば、オランダには車椅子の女性の水着コンテストがあったりするぐらいで 特別扱いしない、という態度にふところの大きさを感じます オランダだって無理な状況だってあるかもしれないし、そこでなんかかわいそうがる、とかじゃなく、無理です、と言い切ってしまう勇気がむしろリベラルなのかと ここで嬉々として乙武氏を擁護することはちょっと違うのかもしれないと思いました
毎度コメントありがとうございます。
オランダの話は知りませんでしたが、特別扱いしないというのは重要なことですね。
今回の店主も誰にでもああいう態度で接している感じもするし、違いに気を配りつつ同じように接するというのは難しい線引きですね。
とにかくこの件で余計に溝が深まることがなければいいなぁとは思います。