映画『ベティ・ブルー インテグラル』

bettybleu

私が通っていた高校には大変立派な図書館が設置してあって、蔵書数で言うと高校では国内最高レベルだと受験案内に書いてあったのを記憶しています。大学の付属校でしたから勉強をする人もいなくていつ行っても広い図書館はスカスカでした。受験勉強に囚われずできるだけ多様な興味に応えられるようにという計らいだと思いますが、多種多様な本が揃ってました。

図書館にはメディアライブラリも揃っていて、当時はレーザーディスクだったんですが、ただで映画が観られるようになっていました。これは非常に人気があって、10近くブースがあったと記憶していますが、授業が終わって遅くとも30分以内には図書館に行かなければ席が埋まってしまうような状況でした。

高三の夏に部活を引退してからの半年間、放課後にやることがなくなった私は毎日のように図書館に通って手当たり次第に映画を観ていました。元々そんなに映画に興味はなかったのでどんな映画が面白いのかさっぱりでしたが、貸出ランキングみたいなのが貼り出されていたので上から順に片っ端から観て行きました。その頃常にランキングに入っていたのが『ベティ・ブルー』でした。何がきっかけか思い出せないのですが、最近突然思い出しまして今回約20年ぶりに再鑑賞した次第です。

前半はジャン=ユーグ・アングラード演じるゾルグとベアトリス・ダル演じるベティとの愛の日々が描かれます。キレイな感じでサラッと書きましたけど、めちゃエロいです。無修正です。そりゃ男子高校生が飛びつくわけです。でも、昔観たときはモザイクが入っていた気がします。高校の図書館に置いてるんだからさすがに修正入りだったんだろうなぁ。

後半は気性の激しいベティが想像妊娠を経て心の病に冒されていく様子を描いていきます。最終的に精神病院に強制収容されたベティは薬の副作用で人の心を失ってしまいます。ゾルグはそんなベティを前にしてある行動に出るわけですが、核心部分なんでここは伏せておきます。

フランス映画らしく全体がまったりと気だるい雰囲気に包まれていて観ていると心が落ち着きます。全体の1/3くらいは二人とも服着てないんですが、猥褻な感じはありません。かと言って美しいというのもちょっと違う感じがします。私の乏しいボキャブラリーから捻り出してみるならば、「生身の人間を描いてみたらこうなった」という感じ。

高校生の頃観た印象では、とにかくベティの破天荒な言動だけが記憶に残っていたんですが、今回観るとむしろ主人公はゾルグであるなぁというのを感じました。徹底的に自由に生きるベティに対して、諭すでもなくただ傍にいて護ろうとするゾルグの広くて深い愛がこの物語の主題だったのかもしれません。そう考えるとあの衝撃的なラストシーンも納得できる気がします。

他人と観るとちょっと気まずい感じになるかもしれません。静かな夜に一人でまったり鑑賞することをオススメします。

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